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2014.03.05

誠実に働き共感者作る 顧客との親密な関係性

 シニア起業された方には、実年齢よりずっと若く見える人が多くいます。株式会社マグネット24代表取締役の齋藤智さん(57)も、お孫さんが2人もいるとは見えない、ダンディーで活動的な方です。齋藤さんは、ずっと先物取引の世界で働いてきました。

 「学校を出て、『商品先物取引の業界に進む』と言ったら、親に大反対されました。しかし、飛び込んだ業界が肌に合ったのか、30年間、先物取引の業界で過ごすことになりました。私には、本気でお客さまのことを考えて戦ってきたという自負があります。お客さま同士を紹介することもありました。そうしてネットワークを作ってきたのです」(齋藤さん)

 しかし、50代を迎え、齋藤さんに大きな試練が訪れます。当時勤務していた会社の経営が傾いたのです。齋藤さんの残務整理、とくに社員の行き場探しに苦労する日々が始まりました。整理が一段落して、顧客にあいさつ回りをするなかで、「独立したら応援する」と声をかけられたそうです。齋藤さんが、いかに顧客と親密な関係を築いていたかが分かります。

 2010年、齋藤さんは法人を設立しました。「小さくスタートして、半年ごとに事業を見直そう、という気持ちでした」

 現在、力を入れているのは「働く母親の雇用を増やしていく」という取り組みです。除菌、抗菌に優れた素材を用いた抗菌施工のサービスを母親たちに委託し、短時間で収入を得られるような仕組み作りと事業を展開しています。母親たちのネットワークとも緊密に協力しているそうです。

 「会社員時代からの私のモットーは『行動は嘘をつかない』ということです。今日怠けると1週間後にそれが出る。一生懸命取り組むと共感者が出てくる。困った時は余計なプライドや見栄を捨てて人に頼る、起業しても、それは同じです」。わたし(片桐)も、起業した身として共感するところが多いですね。 (取材・構成 藤木俊明)