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2014.10.27

【定年起業への挑戦】時代の先を行き過ぎないこと 大学で教鞭を執りながらチャンスを待つ

テクノシステム代表取締役の守屋弓男さん(70)は東大大学院建築学博士課程修了の工学博士であり、一級建築士の資格を持っています。ずっと大学で教えてきましたが、65歳の定年を迎え、建築技術を商品化して提供する事務所を開設しました。

 その技術は「立体トラス構造」といって、溶接を使わず、ボルト接合で立体的な構造物をつくるもの。実際に公共施設や交通機関の施設、集合住宅、工場や倉庫などに採用されています。興味のある方は、ホームページをご覧ください(http://www.t-s.org)。大きな建築物だけでなく、駐車場やソーラーパネル、木造の建築物にも応用可能な技術です。

 実は、守屋さんは定年を迎えて初めて起業したのではなく、大学発のベンチャーとして補助を受け、事務所を開き、建築技術の商品化に関わってきました。ただ大学で教えるだけでなく、ある程度経営のノウハウを持っていたことが強みと言えます。

 早くから事業家として経験を積み、今もこうして現役で活躍する守屋さんに、起業に大切なポイントは何か聞いてみました。

 「長所が短所になることがあります。自分の考えにはまりこみ過ぎないことが大切ですね。第三者的に自分の状況を分析しないといけません。あと、あんまり時代の先を行きすぎないことです(笑)。いいところ半歩先ぐらいではないでしょうか。また、法律をよく知り理解して、それに沿ったものを提案していくことも大切です。結果的にコストが抑えられます」

 確かな技術、特許を持つ守屋さんでさえ、第三者的に自分の状況を見つめて、慎重に事業を進めているのです。

 「私は70歳ですが、こうして事業を行っていると、今まで興味のなかった分野においても、新しいことを覚える機会が増えてうれしいです。死ぬときはパソコンの前で、と思っていますよ」 (取材・構成 藤木俊明)