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2018.03.05

【定年起業への挑戦 実践編】起業プランの源流は定年後の就活体験から 

 定年起業に挑戦中の読者、海老名要一さん(64)の起業プラン「NPO向けICTを活用した広報セミナーの開催」は、「かながわシニア起業家ビジネスグランプリ2018」に見事入賞した。

 このプランはNPO法人を対象にしたものだ。各地ですばらしい活動を行いながらも、ITがうまく使えず、効果的な広報ができていないというNPOが少なくない。そんなNPOスタッフに向けて、無料のウェブサイトセミナーと、参加型セミナーを開催し、ITを生かした広報教育を提供するビジネスだ。このプランを思いついたきっかけを海老名さんは次のように語る。

 「今回立てた起業プランは、自分の再就職活動の経験に源流があります。私は5年前、『シニア中小企業サポート人材プログラム』を受講しました。その受講仲間がワードやエクセルなどの基本的なパソコン操作に詳しくなく、むしろITは苦手だという人が多いことに気がついたのです」

 「シニア中小企業サポート人材プログラム」は、大企業で長く勤務して一定の年齢に達した人が中小企業にスムーズに転職できるようサポートするプログラムで、「東京しごと財団」が提供している。受講期間は約3カ月で、受講者は年齢や境遇も近いため、仲良くなって交流を続けることが多いという。

 「その時、こういうプログラムに参加しないシニア世代のために、就活を支援するウェブサイトがあればいいなと試作しました。ただ、どうやってプロモーションするかなどで悩み、完成には至りませんでした」

 海老名さんの起業プランの源流は、定年後の就活シーンにあったのだ。

 「どうして完成できなかったのか。いま思うと、対象が漠然としていたのかもしれません。今回、かながわシニア起業スクールなどに参加して、ペルソナ(対象顧客の中でとくに重要と考える人物モデル)の大切さを学んだことでターゲットをしっかりと定めることができましたね」

 ターゲットを絞る際には自らのプロボノ(職業上持っている知識や経験を生かしてボランティア活動に従事すること)体験が役に立ったという。そのプロボノ体験の内容と、なぜNPOをターゲットにしたのかについては次回に紹介したい。(取材・構成 藤木俊明)