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2020.06.04

【定年起業への挑戦 実践編】インキュベーションセンターで広めた人脈

 創業以来7つもの公的補助金に採択された株式会社SEtech(エスイーテック)代表取締役関根弘一さん(68)。前回は申請時のポイントについて伺ったが、インキュベーションセンターに入居していたこともポイントだと言う。補助金募集の情報を得るところから戦いは始まっている。関根さんは2015年起業時に湘南藤沢インキュベーションセンターの一角に事務所を構えた。すると、自然に施設の運営担当者との交流ができ、タイムリーに補助金情報をつかめるようになったと話す。


 「メリットは多いですよ。創業間もないベンチャーでも箔(はく)が付いた、というか外部からの信頼度が増したと思います」(関根さん)


 施設の会議室や懇談室などのスペースを外部業者との打ち合わせに使えたのも便利だったとのことだ。「自宅ではちょっとしんどいですよね」


 インキュベーションセンターのマネジャーを介して、他のベンチャー起業者との交流が深まることもメリットだと言う。


 「ベンチャーを志すような人って、ちょっと変わった人が多いのですよ。大企業にいた頃は違う分野の人との出会いが少なかったのですが、こうした施設に入居することによって、そんな人たちとの交流ができ、新たな発想がわいたり、今までにないビジネスチャンスが出てきたりします」


 関根さんは、小さな技術開発型ベンチャーにも勝機はあると続ける。「日本企業は慎重で、検証が終わってから顧客に紹介するスタイルが多い。それでは中国などの企業に先を越されてしまいます。アイデア段階で顧客を巻き込み、共同で開発を進めれば他社の参入を阻止できます。『一歩を踏み出す勇気を持つ』という言葉が座右の銘で、このスタイルでどんどん補助金に申請してきたのですね」。湘南のシニアベンチャーは意気軒高だ。 (取材・構成 藤木俊明)