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2021.02.25

【定年起業への挑戦 実践編】カウンセラーを目指して税務署を退職

 『税務署は見ている。』などの著書で知られる元国税調査官税理士の飯田真弓さん(56)は、一般社団法人日本マインドヘルス協会代表理事だ。かつて飯田さんは税務署に勤めながら、放送大学で心理療法を学んだ。ボランティアでカウンセリングを行ったところ、長期休職していた人が1回の参加で職場復帰を宣言したことがカウンセラーになるきっかけの一つとなった。


 「税務調査の仕事は、人に喜んでもらえることがあまりないですからね」(飯田さん)


 仕事には不満がなかったが、カウンセラーとしてより多くの人の役に立ちたいと思い、44歳の時に退職・独立した。


 しかし関西という土地柄、カウンセリングに対価を払おうという人は少なく、独立当初は苦労したと笑う。テレビ出演も果たしたが、うさん臭い人たちが寄ってくる始末だ。


 そんな苦しい時に、公的な起業サポート事業に採択され、資金を得て2012年一般社団法人化を果たし、信用も増した。


 飯田さんの編み出した手法「エコラージュ」は絵や写真を貼り合わる作業で、その人の潜在意識をあぶり出すものだ。例えば、社員の離職率の高さに悩む企業が取り入れたところ、離職率が改善したという。

 飯田さんはカウンセリングをライフワークと決めていたが、独立時に「税理士という資格は信頼感がある」というアドバイスをもらい、税理士の肩書も残したことにより、税関係の取材や出版の話が来たと振り返る。昨年にはカウンセリングのスキルを生かし、『「顧客目線」「嗅覚」がカギ! 選ばれる税理士の“回答力”』を出版した。「今まで長い間やってきた仕事は、必ずどこかで役に立つのですね」と笑った。 (取材・構成 藤木俊明)